抗ガン剤の種類
【ア行】【カ行】【サ行】【タ行】【ナ行】
【ハ行】【マ行】【ヤ行】【ラ行】【ワ行】
【アルファベット】【数字】
【タ行】
【タ】
【チ】
【テ】
【ト】
☆ダウノルビシン / DNR、DM(ダウノマイシン / 明治製菓)
治療対象のがん
急性白血病
作用・特徴
DNAの鎖どうしを結びつけたり切断して、がん細胞の増殖を妨げる。細胞周期とは無関係にはたらく。
注意事項・副作用
吐き気・嘔吐、造血作用の抑制や脱毛が顕著。心筋障害★によるうっ血性心不全のおそれ(ドキソルビシンよりまれ)
★:とくに注意が必要な副作用です
☆ダカルバジン / DTIC(ダカルバジン / 協和発酵)
治療対象のがん
悪性リンパ腫、(ホジキン病)、悪性黒色腫、子宮肉腫、軟部肉腫、神経芽腫
作用・特徴
DNAやRNAやの合成を妨げて、がん細胞の増殖を止める。
注意事項・副作用
造血作用の抑制は比較的軽い。吐き気・嘔吐、脱毛、肝臓障害、腎臓障害、聴力障害、神経障害、アレルギー反応、造血性貧血、SIADH*,アナフィラキシー*。腎毒性の薬剤との併用は避ける。
SIADH*:抗利尿ホルモン不適合分泌症候群。体内に水分が貯留する
アナフィラキシー*:急性のアレルギー症状。症状としては、じんましんや全身紅斑、
けいれんなどがある
☆タモキシフェン / TAM
(ノルバデックス / ゼネカ、タスオミン / シェーリング)
治療対象のがん
乳がん(高齢者でも効果大)
作用・特徴
抗エストロゲン剤。エストロゲンの代わりにがん細胞に結びつき、増殖を抑える。乳がんの細胞がエストロゲンの受容体をもつときに効果がある。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、悪心、ほてり、高カルシウム血症、月経異常、性器出血、血栓塞栓症、肝臓障害、視覚障害、(網膜症など)。長期間使用で子宮がん発症★のおそれ。
★:とくに注意が必要な副作用です
☆チオテパ / TESPA, TT(テスパミン / 住友)
治療対象のがん
慢性白血病、悪性リンパ腫、胃がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、子宮がん、膀胱がん
作用・特徴
DNAの複製を妨げる。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、認知障害、アレルギー反応、頭痛、発熱。吐き気・嘔吐が顕著。
☆テガフール / FT
(フトラフール / 大鵬、サンフラール / 旭化成、 フルエード /
ワイスレダリー-武田)
治療対象のがん
胃がんや大腸がん
作用・特徴
細胞の遺伝情報を持つ"DNA"が作られるのを妨害して、がん細胞の分裂増殖をおさえます。胃がんや大腸がんなど消化器がんをはじめ、肺がんにも適応します。適応外ですが、
乳がんなど他のがんにもよい効果が期待できます。また、手術後の補助療法として、再発予防目的に用いることがあるかもしれません。
日本で開発された薬剤。
注意事項
<注意する人>
病気によっては、その病状を悪化させるおそれがあります。また、腎臓病や肝臓病のある人は、用量に注意するなど慎重に用いるようにします。
・適さないケース…重い骨髄抑制、重い腎臓病、重い肝臓病、妊娠中。
・注意が必要なケース…骨髄抑制、腎臓病、肝臓病、感染症、水痘(水ぼうそう)、
間質性肺炎、心臓病、消化管潰瘍、高齢の人など。
<飲み合わせ・食べ合わせ>
フッ化ピリミジン系の抗がん薬や抗真菌薬との併用は禁止です。そのほかにもワルファリンなど注意が必要な飲み合わせがあります。過去1週間を含め服用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。
・飲み合わせの悪い薬…フッ化ピリミジン系の抗がん薬・抗真菌薬(5-FU、フトラフール、
ユーエフティ、アンコチルなど)
・飲み合わせに注意…ワルファリン(ワーファリン)、フェニトイン(アレビアチン、
ヒダントール)など。
副作用
吐き気や嘔吐、下痢、口内炎など、いろいろな副作用がでやすい。
医師から十分説明を受けておきましょう� �
軽い副作用の場合、治療を優先しなければならないことも多いです。
副作用でもっとも重要なのが「骨髄抑制」にともなう血液障害です。白血球が異常に減少すると、体の抵抗力がひどく落ちて感染症にかかりやすくなります。また、血小板減少により出血を生じることもあります。発熱やのどの痛み、あるいは歯茎出血・皮下出血など出血傾向がみられたら、ただちに医師に連絡してください。
・重い副作用…めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
・重い血液成分の異常…発熱、喉の痛み、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や歯肉からの
出血。
・腸炎…激しい腹痛、下痢、下血(血液便、黒いタール状の便)。
・肝臓の重い症状…だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が
黄色くなる、尿が褐色。
・間質性肺炎…から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
・白質脳症…歩行時のふらつき、手足のしびれ、舌のもつれ、もの忘れ、動作がにぶる、
ボーッとする
・急性腎不全…だるい、吐き気、むくみ、尿の濁り、血尿、頻尿、尿が少ない・出ない。
・重い口内炎、消化管潰瘍・出血…ひどい口内炎、胃痛、下血(血液便、黒いタール状の便)
吐血。
・重い皮膚症状…高熱、ひどい発疹・発赤、唇 や口内のただれ、のどが痛い、水ぶくれ、
皮がむける、強い痛み、目の充血。
・膵炎…上腹部〜背中の強い痛み、吐き気、吐く。
・横紋筋融解症…手足のしびれ・けいれん、手足に力が入らない、筋肉痛、歩行困難、
赤褐色の尿。
・その他…食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛口内炎、味覚異常発疹、かゆみ、
色素沈着、脱毛 。
☆テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム / TS-1(ティーエスワン / 大鵬)
治療対象のがん
胃がん
作用・特徴
フルオロウラシルの分解を阻害し、その効果を高める。日本で開発された薬剤。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、劇症肝炎などの重篤な肝臓障害。
関節炎の痛みを助けるためにブレスレット
☆ドキシフルリジン / 5'-DFUR(フルツロン / ロシュ)
治療対象のがん
胃がん、大腸がん、乳がん、頭頸部がん、膀胱がん
作用・特徴
がん細胞内でフルオロウラシルに変換し、がん細胞のDNAの合成を妨げる。日本で開発された薬剤。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、下痢、口内炎、小脳失調*(薬の投与の中断で軽減)、手足の麻痺、脱水症状。抗ウィルス剤ソリブジンとの併用で重篤な血液障害のおそれ。
小脳失調*:運動障害や言語障害など
☆ドセタキセル / DOC、TXT(タキソテール / アベンティス-中外)
治療対象のがん
乳がん、肺非小細胞がん、胃がん、卵巣がん
作用・特徴
イチイの成分から製造された薬剤。微小管の分解を妨げ、DNAの合成を止める。タキサン系抗がん剤。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛、浮腫★、発疹、ショック症状、アナフィラキシー*、アレルギー反応(同じ植物アルカロイドのパクリタキセルより軽い)。
★:とくに注意が必要な副作用です
アナフィラキシー*:急性のアレルギー症状。症状としては、じんましんや全身紅斑、
けいれんなどがある
☆ドキソルビシン / 別名アドリアマイシン。DXR、ADR、ADM
(アドリアシン / 協和発酵)
治療対象のがん
多発性骨髄腫、急性白血病,悪性リンパ腫,甲状腺がん,肺がん、胃がん、膵臓がん、膀胱がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、骨肉腫
作用・特徴
代表的な抗がん剤。DNA合成期にはたらき、DNAの鎖どうしを結びつける。
注意事項・副作用
吐き気・嘔吐(1日で消える)、膀胱萎縮。造血作用の抑制や心筋障害★によるうっ血性心不全にとくに注意が必要。非常に脱毛しやすい薬剤。
★:とくに注意が必要な副作用です
☆トラスツズマブ(ハーセプチン / ロシュ)
治療対象のがん
乳がん、卵巣がん
作用・特徴
乳がん細胞のHER2ホルモン受容体に結合してがん細胞を攻撃する。EGFRに作用する。
注意事項・副作用
悪寒、発熱など。副作用は少ない。
☆トレチノイン / ATRA。レチノインサン=活性型ビタミンA
(ベサノイド / ロシュ)
治療対象のがん
急性前骨髄性白血病
作用・特徴
がん遺伝子が作るたんぱく質のはたらきを抑え、がん細胞の増殖を抑える。
注意事項・副作用
発熱、呼吸困難、胸水貯留。白血球が異常に増えることも。催奇性*。
催奇性*:胎児に奇形を誘発するため妊婦には用いない
☆トレミフェン(フェアストン / 日本化薬)
治療対象のがん
乳がん
作用・特徴
エストラジオール*による細胞増殖を阻害する。
注意事項・副作用
吐き気・嘔吐、下痢、発疹、頭痛。
エストラジオール*:おもに卵巣で分泌される女性ホルモン
【ナ行】
【ナ】
【ニ】
【ネ】
【ノ】
☆ニムスチン / ACNU(ニドラン / 三共)
治療対象のがん
脳腫瘍、悪性リンパ腫、胃がん、肝臓がん、大腸がん、慢性白血病、肺がん、神経芽腫
作用・特徴
DNAの複製を妨げる。血液脳関門*を通過する。日本で開発された薬剤。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、下痢、けいれん、脱毛、間質性肺炎、腎臓障害。
血液脳関門*:脳にとっての異物が侵入するのを防ぐシステム
☆ネオカルチノスタチン / NCS(ネオカルチノスタチン / 科薬-山之内)
治療対象のがん
急性白血病、胃がん、膀胱がん
作用・特徴
DNAを切断する。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、発熱、感染症に注意。
☆ネダプラチン / 254‐S(アクプラ / 塩野義)
治療対象のがん
食道がん、子宮がん、頭頸部がん
作用・特徴
がん細胞の核酸の合成を妨げ、DNAの複製を抑える。日本で開発された。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、頭痛、けいれん、ショック症状、手足のしびれ。腎毒性はシスプラチンより軽い。
☆ノギテカン / トポテカン(ハイカムチン)
治療対象のがん
子宮内膜がん、卵巣がん、神経芽腫、肺小細胞がん
作用・特徴
トポイソメラーゼ I のはたらきを妨げ、がん細胞を殺す。
注意事項・副作用
高度の下痢、血便。
【ハ行】
【ハ】
【ヒ】
【フ】
【ヘ】
☆パクリタキセル / TAX、PTX、Taxol
(タキソール / ブリストル・マイヤーズスクイブ)
治療対象のがん
肺非小細胞がん、乳がん、子宮がん卵巣がん、膣がん、胃がん
作用・特徴
イチイの成分から製造された薬剤。微小管の分解を妨げ、DNAの合成を止める
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛、アレルギー反応、末梢神経障害★、心臓障害。
★:とくに注意が必要な副作用です
☆ピシバニール / OK-432(ピシバニール / 中外)
治療対象のがん
胃がん、頭頸部がん、甲状腺がん
教育拒食症の社会学のイギリスジャーナル
作用・特徴
現在はほとんど使用されていない。がん性胸膜炎に用いる。
注意事項・副作用
ショック症状、過敏症状、局所疼痛、発熱、全身倦怠感、肝機能障害
☆ビノレルビン / VRL(ナベルビン / 協和発酵)
治療対象のがん
肺非小細胞がん、乳がん、子宮がん卵巣がん、膣がん、胃がん
作用・特徴
イチイの成分から製造された薬剤。微小管の分解を妨げ、DNAの合成を止める
ボックス・ウォーニング
本剤の骨髄機能抑制に起因したと考えられる死亡例(敗血症,脳出血),また高度のアレルギー反応に起因したと考えられる死亡例が認められています。
本剤による重いアレルギー症状の発現を防止するため,使用前には必ず前投薬を受けなければなりません(前投薬を実施した場合でも死亡例が報告されています)。重い過敏症状が発現したら,本剤を再使用してはいけません。
使用に際しては� ��緊急時に十分に措置できる医療施設で,がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師に,本剤の有効性・危険性を十分に聞き・たずね,同意してから治療を受けなければなりません。
副作用
<重大な副作用>
・白血球減少,好中球減少,血小板減少,汎血球減少などの骨髄機能抑制
・呼吸困難,気管支けいれん,血圧低下,胸部圧迫感,発疹などのショック症状・
アナフィラキシー様反応
・黄疸,肝不全,AST・ALT・AL-Pの著しい上昇などの肝機能障害
・急性腎不全などの重い腎機能障害
・間質性肺炎,肺線維症
・心不全
・播種性血管内凝固症候群(DIC)
・腹痛,吐血,下血,下痢などを伴う腸管穿孔,胃腸出血,虚血性大腸炎,大腸炎
・腸閉塞
・呼吸障害などを伴う急性呼吸窮迫症候群
・膵炎
・皮膚粘膜眼症候群(スティブンス−ジョンソン症候群),多形紅斑などの水疱性・
滲出性皮疹
・意識障害などを伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
などがおこることがあります。
・心タンポナーデ,肺水腫,緊急ドレナージを要する胸水,腹水などの重い浮腫・体液貯留
・心筋梗塞,静脈血栓塞栓症
・敗血症,肺炎などの感染症
・その他,重い口内炎などの粘膜炎,血管炎,末梢神経障害,四肢の脱力感などの末梢性
運動障害
などが報告されています。
<その他副作用>
・おこることがある副作用…
食欲不振,悪心・嘔吐,下痢,腹痛,腹部膨満感,便秘,しゃっくり,舌炎,口内乾燥,口内炎,便潜血,胃・十二指腸潰瘍,食道炎/アレルギー症状(発赤,かゆみ,潮紅など)/脱毛,皮疹,色素沈着,爪疾患(爪剥離,変形,変色,爪下出血,爪下血腫,爪下膿瘍など)
皮膚剥離,手足症候群/頭痛,意識喪失,見当識障害,めまい,昏迷,不眠,傾眠/難聴,
羞明,視力異常,視覚障害(閃光,光のちらつき,暗点),流涙,涙道閉塞,耳鳴り,味覚異常/筋肉痛,関節痛,筋力低下,脱力感,背部痛,けいれん/
血尿,乏尿,頻尿/不整脈,動悸,頻脈/呼吸困難,咽頭炎,せき,血痰/
全身倦怠感,発熱,むくみ,静脈炎,疼痛,胸痛,� �身痛,熱感,腰痛,鼻出血,ほてり,
脱水
・検査などでわかる副作用…
タンパク尿,BUN・クレアチニン上昇,尿糖,カリウム・ナトリウム・カルシウムの異常/
AST・ALT・AL-P・γ-GTP・LDH・総ビリルビン上昇/血圧低下・上昇/総タンパク・アルブミン・A/G比・CK異常
☆ピラルビシン / THP-ADR
(テラルビシン / 明治、ピノルビン / メルシャン-日本化薬)
治療対象のがん
急性白血病、頭頸部がん、胃がん、膀胱がん、腎盂・尿管がん、乳がん、卵巣がん、子宮がん
作用・特徴
がん細胞へのとり込みが早い。日本で開発された薬剤。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛、膀胱萎縮。心筋障害によるうっ血性心不全(ドキソルビシンよりまれ)
☆ビンクリスチン / VCR(オンコビン / 日本イーライリリー-塩野義)
治療対象のがん
急性白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血球、悪性リンパ腫、肺小細胞がん、卵巣がん、子宮頸がん、卵巣がん、膣がん、軟部肉腫、網膜芽腫、神経芽腫、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫
作用・特徴
ニチニチ草から抽出された薬剤。微小管のはたらきを妨害し、がん細胞の分裂を妨げる。細胞分裂期にはたらく。
注意事項・副作用
脱毛、便秘、麻痺性腸閉塞★、末梢神経障害★、手足の疼痛。SIADH*。造血作用の抑制、吐き気・嘔吐は比較的少ない。
★:とくに注意が必要な副作用です
SIADH*:抗利尿ホルモン不適合分泌症候群。体内に水分が貯留する
☆ビンデシン / VDS(フィルデシン / 塩野義)
治療対象のがん
急性白血病、悪性リンパ腫,肺がん、食道がん
作用・特徴
微小管の合成を阻害し、がん細胞の分裂を妨げる。DNA合成期、細胞分裂にはたらく。半合成薬剤。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛など。ビンクリスチンよりまれだが神経障害のおそれもある。
☆ビンブラスチン / VBL(エグザール / 日本イーライリリー-塩野義)
治療対象のがん
悪性リンパ腫、絨毛がん
作用・特徴
ニチニチ草から抽出された薬剤。微小管のはたらきを妨害し、がん細胞の分裂を妨げる。細胞分裂期にはたらく。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛、神経障害(ビンクリスチンより軽い)
☆ブスルファン / BUS, BU(マブリン / ワイスレダリー-武田)
治療対象のがん
慢性骨髄性白血病
作用・特徴
DNAの複製を妨げる。同種骨髄移植時に標準的に大量使用する。日本では内服薬のみ。
注意事項・副作用
造血作用の抑制が顕著。吐き気・嘔吐、精子減少、卵巣機能低下、肝臓障害、肺線維症、同質性肺炎。
☆フルオロウラシル / 5-FU(5-FU / 協和発酵)
治療対象のがん
胃がん、乳がん、頭頸部がん、甲状腺がん、肺がん、食道がん、大腸がん、肛門がん、肝臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、膵臓がん、卵巣がん、膣がん、外陰がん、皮膚がん(メラノーマ)
作用・特徴
細胞の遺伝情報を持つ"DNA"が作られるのを妨害して、がん細胞の分裂増殖をおさえます。
胃がんや大腸がんなど消化器がんに広く用いられるほか、乳がんや子宮頸がんに対する適応
もあります。そのほか、医師の判断で各種のがん治療に応用されています。また、手術後の
補助療法として、再発予防目的に用いることも多いです。
humanparacites貧血
注意事項
<注意する人>
病気によっては、その病状を悪化させるおそれがあります。また、腎臓病や肝臓病のある人は、用量に注意するなど慎重に用いるようにします。
注意が必要なケース…骨髄抑制、腎臓病、肝臓病、感染症、水痘(水ぼうそう)、心臓病、
消化管潰瘍のある人など。
<飲み合わせ・食べ合わせ>
別の抗がん薬のテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合薬(ティーエス ワン)
との併用は禁止です。
そのほかにもワルファリンなど注意が必要な飲み合わせがあります。
・飲み合わせの悪い薬…テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエス
ワン)
・飲み合わせに注意…ワルファリン(ワーファリン)、フェニトイン(アレビアチン、
ヒダントール)など。
副作用
・重い副作用…めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください。
・重い血液成分の異常…発熱、喉の痛み、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や歯肉からの
出血。
・腸炎…激しい腹痛、下痢、下血(血液便、黒いタール状の便)。
・白質脳症…歩行時のふらつき、手足のしびれ、舌のもつれ、もの忘れ、動作がにぶる、
ボーッとする
・肝臓の重い症状…だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が
黄色くなる、尿が褐色。
・間質性肺炎…から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
・重い口内炎、消化管潰瘍・出血…ひどい口内炎、胃痛、下血(血液便、黒いタール状の便)
� �血。
・その他…食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、口内炎、味覚異常、発疹、かゆみ、
色素沈着、脱毛。
☆フルタミド(オダイン / ゼネカ)
治療対象のがん
前立腺がん
作用・特徴
アンドロゲンの結合を阻害する。
注意事項・副作用
肝臓障害、間質性肺炎、吐き気・嘔吐、抑うつ。
☆フルダラビン(フルダラ)
治療対象のがん
慢性リンパ性白血病
作用・特徴
DNAの材料分子(アデニンやグアニンなど)の代わりにがん細胞にとり込まれ、DNAの合成を妨げる。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛。
☆フルベストラント(ファスロデックス / ゼネカ)
治療対象のがん
乳がん
作用・特徴
エストロゲン受容体を減らす。タモキシフェンの効果がない場合の唯一の抗エストロゲン剤。
注意事項・副作用
ほてり、吐き気、倦怠感。長期的副作用は未詳。
☆ブレオマイシン / BLM(ブレオ / 日本化薬)
治療対象のがん
悪性リンパ腫、頭頸部がん、甲状腺がん、皮膚がん、肺がん、食道がん、陰茎がん、子宮頸がん、膣がん、外陰がん、骨肉腫、神経膠腫
作用・特徴
DNAを切断する。患部やその周囲に塗布して用いることもできる薬剤で、日本で開発された。造血器への障害は少ない。
注意事項・副作用
吐き気・嘔吐は比較的軽度。悪寒、低血圧、発熱、色素沈着、皮膚乾燥、光に対する過敏症、間質性肺炎★、肺線維症は注意必要。高齢者、肺の病気や放射線治療を受けたことがある人は肺障害の危険度が高い。
★:とくに注意が必要な副作用です
☆プレドニゾロン / PSL(プレドニゾロン / 武田、プレドニン / 塩野義)
治療対象のがん
多発性骨髄腫、ホジキン病(悪性リンパ腫)
作用・特徴
副腎皮質ホルモン剤。人工的にホルモンを投与することでがんの増殖を抑える。メルファランとの併用が多い。
注意事項・副作用
便秘、不眠、高血糖、ムーンフェイス(顔のむくみ)
☆プロカルバジン / PCZ(ナツラン / ロシュ)
治療対象のがん
悪性リンパ腫(ホジキン病)
作用・特徴
核酸とたんぱく質の合成を阻害する。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛、出血性膀胱炎、腎臓障害、肝臓障害、間質性肺炎、けいれん。高チラミン食(ワイン、チーズなど)は相互作用を引き起こす。
☆ぺプレオマイシン / PEP(ぺプレオ / 日本化薬)
治療対象のがん
悪性リンパ腫、頭頸部がん、肺がん、前立腺がん、膣がん、皮膚がん
作用・特徴
ブレオマイシンの肺毒性を軽減する目的でつくられた薬剤で、日本で開発された。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛、意識混濁、間質性肺炎。
【マ行】
【マ】
【ミ】
【メ】
☆マイトマイシン / MMC(マイトマイシンS / 協和発酵)
治療対象のがん
白血病、頭頸部がん、肺がん、胃がん、大腸がん、肛門がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がん、子宮がん、膣がん、外陰がん
作用・特徴
アルキル化剤と同じようにはたらき、DNAの合成を妨害する。細胞周期とは無関係にはたらく。日本で開発された薬剤。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛、間質性肺炎、肺線維症、溶血性尿毒症★、腎臓障害などがあるが、造血作用以外の副作用は比較的軽い。
★:とくに注意が必要な副作用です
☆メトトレキセート / MTX, 別名アメトプテリン
(メソトレキセート錠 / ワイスレダリー-武田)
治療対象のがん
白血病、悪性リンパ腫、乳がん、胃がん、膀胱がん、陰茎がん、骨・軟部肉腫
作用・特徴
DNAの合成を助ける酵素のはたらきを妨げ、がん細胞の増殖を抑える。さまざまながんに使われるが、他の薬剤と相性が悪い。
注意事項・副作用
造血作用の抑制★、吐き気・嘔吐、口内炎★、小脳失調*、心筋虚血、腎臓障害、肝臓障害、アナフィラキシー*。下痢による脱水症状や腸炎★に注意が必要。非ステロイド系抗炎症剤との併用はメトトレキサートの排泄を遅らせる。
★:とくに注意が必要な副作用です
小脳失調*:運動障害や言語障害など
アナフィラキシー*:急性のアレルギー症状。症状としては、じんましんや全身紅斑、
けいれんなどがある
☆メルファラン / L-PAM(アルケラン / グラクソ・ウエルカム-住友)
治療対象のがん
多発性骨髄腫、ユーイング肉腫、神経芽腫
作用・特徴
DNA複製を妨げてがん細胞の増殖を抑える。細胞周期とは無関係にはたらく。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、肝臓障害、間質性肺炎や肺線維症にも注意が必要。
☆ミトキサントロン / MIT、DHAD
(ノバントロン / ワイスレダリー-武田)
治療対象のがん
急性白血病、悪性リンパ腫、肝臓がん、乳がん、子宮肉腫
作用・特徴
交叉耐性*の少ない薬剤。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛。心筋障害によるうっ血性心不全、呼吸困難。
交叉耐性*:ある抗がん剤が効かなくなったがん細胞が別の抗がん剤にも耐性を示すこと
【ヤ行】
【ヤ】
【ラ行】
【ラ】
【リ】
【レ】
【ロ】
☆ラニムスチン / MCNU(サイメリン / 東京田辺)
治療対象のがん
多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、脳腫瘍(膠芽腫)、慢性骨髄性白血病、本能性血小板血症
作用・特徴
DNAの複製を妨げる。血液脳関門*を通過する。日本で開発された薬剤。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、吐き気・嘔吐、脱毛、間質性肺炎、腎臓障害。
血液脳関門*:脳にとっての異物が侵入するのを防ぐシステム
☆リツキシマブ(リツキサン / 全薬工業)
治療対象のがん
非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病
作用・特徴
遺伝子工学的につくられた人工抗体CD20分子に特異的に結合。
注意事項・副作用
間質性肺炎、造血作用の抑制、アナフィラキシー反応*。
アナフィラキシー反応*:急性のアレルギー症状。症状としては、じんましんや全身紅斑、
けいれんなどがある
☆リュープロリド / 抗ホルモン剤(リュープリン / 武田)
治療対象のがん
乳がん、前立腺がん、子宮内膜がん
作用・特徴
ゴナドトロピン分泌ホルモン*の作用を抑え、男性ホルモンの分泌を低下させる。
注意事項・副作用
ほてり、女性化乳房、性欲減退、性的不能、吐き気・嘔吐、肝臓障害、頻尿、排尿困難、浮腫。
ゴナドトロピン分泌ホルモン*:ゴナドトロピン〈性腺刺激ホルモン〉の分泌を
うながすホルモン
☆レトロゾール
治療対象のがん
乳がん
作用・特徴
アロマターゼ阻害剤。タモキシフェンより高い成績が報告されている。
注意事項・副作用
ーーーーーーーーーーーーーーー
【ワ行】
【アルファベット】
☆BCG膀胱注入用(イムノブラダ / 日本ビーシージー、協和)
治療対象のがん
膀胱がん(上皮内がん)
作用・特徴
BCGのバクテリアによって膀胱の粘膜を刺激する、または免疫力を高める。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、頻尿、排尿時の痛み、口内炎、発疹。
☆L-アスパラギナーゼ / L-ASP(ロイナーゼ / 協和発酵)
治療対象のがん
急性白血病、悪性リンパ腫
作用・特徴
がん細胞が増殖するとき必要とするL-アスパラギンを分解する。
注意事項・副作用
吐き気・嘔吐、アレルギー症状、けいれん、肝臓障害、膵炎、意識障害。
【数字】
☆6-メルカプトプリン /6-MP(ロイケリン / ワイスレダリー-武田)
治療対象のがん
急性白血病、慢性骨髄性白血病
作用・特徴
DNAの材料分子(アデニン、グアニンなど)の変わりにがん細胞にとり込まれ、DNAの合成を妨げる。
注意事項・副作用
造血作用の抑制、肝臓障害、血尿、吐き気・嘔吐、脱毛、胆汁うっ滞、発熱、皮膚紅斑。
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