2012年3月28日水曜日

「めまい」はどうしておこるの


1.「めまい」はどうしておこるの
 私たちの体には、体のバランスを保つシステムが備わっております。耳、目、筋肉などからの情報が脳に送られて適切に統合され、その情報が全身の筋肉に正確に伝わることで、体のバランスをうまく保っております。これらの情報に異常やズレが生じるとバランスがくずれ、めまいがおこります。
 めまいは、@耳の病気、A脳の病気、B全身の病気によっておこります。  

 平衡感覚(へいこうかんかく)(重力の変化に対し身体の位置やつりあいを知る感覚)を司る耳の内耳(図1)は、リンパ液で満たされていて、このリンパ液の増加や漏れでめまいが起きたり、内耳の器官の一部(耳石(じせき))がはがれて起きたり、内耳でとらえた情報を脳に伝える前庭神経(ぜんていしんけい)に炎症が起きたりしてめまいが生じます。 これらの場合、グルグルまわる回転性のめまい発作がくることが多いです。
右 図1 耳の構造
(参考文献15 より引用)

 また、脳の中の小脳(しょうのう)(運動と平衡を司どる)や脳幹(のうかん)(多数の脳神経が出入りし多数の神経核が存在する、姿勢反射の中枢)は体のバランスを保つ働きをしています。ですから、脳や全身の病気によって、小脳や脳幹に送られる血液量が不安定になったり,不足したり、小脳や脳幹が圧迫されてもめまいがおこります。
 耳から起きるめまいでは、「メニエール病」が皆さんによく知られておりますが、最も多い病気は「メニエール病」ではなく、「良性発作性頭位(りょうせいほっさせいとうい)めまい(しょう)」という病気で、めまい患者さんの60%程度といわ� �ています。

 この病気は、内耳の前庭(ぜんてい)内にある「耳石」が何かの調子ではずれて、半規管(はんきかん)の中に入り込み、コロコロと動き回るためにグルグルめまいが起きる病気です。朝起きたときとか寝返りをしたときにグルグルまわる回転性のめまいが起きます。ですが、半規管から「耳石」が出てしまえば、めまいはピタッとおさまります。


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  この病気を診断するためには、早期に耳鼻咽喉科で目に赤外線CCDカメラをつけて頭や体の位置を変化させることで、どの頭の位置でめまいが起きるかを検査し確認していきます(眼球運動[ 眼振] 検査)。(図3・4)もちろん、他の脳や全身の病気からくるめまいがないかも同時に調べて除外します。


図2の説明
前・後・外側の三半規管と卵形嚢の位置関係を示します。卵 形嚢に存在している耳石は通常、他の場所に移動しないので すが、何らかの原因で耳石がはがれると、後屈姿勢のときに 総脚まわりで後半規管膨大部へ、臥位寝返り姿勢で外側半規 管膨大部へ迷入することがあります。耳石が半規管内をうろ うろするのが半規管結石で、半規管膨大部のクプラに付着す るのがクプラ結石です。
(参考文献11 より引用)

( 参考文献10 より引用)

 「良性発作性頭位めまい症」という病気で陥りやすい間違いは、「安静にしていなくてはならない」と思いこんで、一日中寝ていることです。しかし、他の部分に病気がないときは、積極的に頭を動かした方が、めまいは早く治ります。このとき多少めまい感や吐き気がありますが心配はありません。1〜2分休んでから、また同じ動作をしてみてください。これを繰り返していくと、そのうちにめまいが起きにくくなってくるのが分かります。

図4の説明
1)正面坐位→懸垂頭位→正面坐位(A)
2)右45度頸部捻転坐位→右45度懸垂頭位→右45度頸部捻転坐位(B)
3)左45度頸部捻転坐位→左45度懸垂頭位→左45度頸部捻転坐位
の順に頭位を急速に変化させた後の眼振を観察する。本図では1)と2)
の頭位変化の実際を示している。
(参考文献13 より引用)


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 最近では治療に「頭位変換療法(とういへんかんりょうほう)」という理学療法「エプレイ法(起きあがり・頭下げでめまいが起きる場合)(図5)やレンパート法(寝返りでめまいが起きる場合)」を行います。これは頭を決まった方向に変換し動かすことで、はがれた「耳石」を半規管から出し元の位置に移動させる治療方法です。この治療によって半数の人が数日で治ります。人によっては治るまで数週間かかる場合もありますが、いずれの場合も完治するものです。再発は少ないものですが、10%位の人にまた起きることもあります。再発してもまたこの治療により治りやすいようです。

 耳から起きるめまいで、次に多いのが「メニエール病」という病気です。メニエール(1799〜1862)は、フランスの内科医で、めまいの中には脳の病気によるものではなく、内耳の異常によるものがあることを発見しました。これから「メニエール病」という病名が起きました。

 この病気の原因は、内耳の三半規官(さんはんきかん)(図1)の「内リンパ水腫(すいしゅ)」といわれております。一口に言うと内耳がむくんでしまうのです。このむくみがひどくなると、回転性のめまい、難聴(なんちょう)耳閉塞感(じへいそくかん))、耳鳴(みみな)りが起きてまいります。また、吐き気、嘔吐(おうと)や頭痛もくることもあります。このような症状を繰り返すのがこの病気の特徴です。メニエール病のめまい発作は、数時間から数日ほどで軽くなりおさまりますが、さらにめまい発作が繰り返し� ��何回も起きることになると、次第に聞こえが悪くなり、元に戻らなくなります。

 治療はめまい発作がある時期は、抗めまい剤や吐き気止めを用い、とにかくめまいを止めるようにします。その後、聴力を戻すため、ステロイド剤(炎症を抑えたり、アレルギーを抑える薬で、もともと人間の身体の中で作られる)や浸透圧利尿剤(しんとうあつりにょうざい)(水腫の治療に使われる)を使って内耳のむくみを取ります。めまいがおさまってからもある程度症状が落ち着くまでは、内耳循環改善剤を内服する必要があります。


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 この病気は過労、睡眠不足、ストレスなどの生活習慣が悪影響いたしますので、生活面でこれらを軽減するように気をつけることが大事です。また毎日の散歩や有酸素運動(ゆうさんそうんどう)が良い効果があるといわれています。一度起きてしまうとすぐには完治は難しい病気ですので、根気よく治療しなければなりません。


図5 頭位変換療法(エプレイ法)の実際(左患側)
エプレイ法の頭部の動きと、これによる後半規管内の耳石の動きを示 した。一連の運動により管内の浮遊耳石が卵形嚢内に移動する推定図 である。 (参考文献13 より引用)

●耳からのめまいには、次のような九つの病気があります。

1) 良性発作性頭位めまい症

@耳からのめまいで一番多い病気です。
A頭位を変えることで回転性めまい(グルグルめまい)が起きます。
B朝起き上がるとき、寝返りしたときに突然起きます。
Cめまいの持続時間は数10秒〜1分位で短いです。その短いめまいが頭位を変えることで何回も起こります。
D良性で比較的治りやすく、治療で半数の人が数日で治ります。
E耳石がどうしてはずれるのか原因は不明ですが、過去に頭部外傷、むち打ちをした人、寝たきりのひと、長期入院の人に起きることが多いです。
F治療は頭位変換療法(とういへんかんりょうほう)(図5)(理学療法のエプレイ法・レンパート法)を行います。(はずれた耳石を元に戻す治療で5分間位ベッド上で頭を動かして行います。)

2) メニエール病

@原因:内耳の三半規管のリンパ水腫(むくみ)で起きます。
Aフランスの医師メニエールが発見した病気です。
B三大症状の
 めまい、難聴(耳閉塞感)、耳鳴りがあります。
C繰り返す(悪かったり良かったり)。
D自律神経症状を伴うことが多いです。
 吐き気(むかむかして吐きたくなる気分)、嘔吐(食べ物を吐くこと)
 頭痛、肩こり、不眠など
E誘因:過労、睡眠不足、ストレスなどが誘因となります。
F治療
 発作期(ほっさき)の治療
  抗めまい剤、鎮静剤、鎮嘔剤、ステロイド剤、浸透圧利尿剤注射など
 間歇期(かんけつき)の治療
  内耳循環改善剤、浸透圧利尿剤の内服、有酸素運動がよい(軽 い運動、散歩など)。


3) 内耳炎(ないじえん)(慢性中耳炎に多い)
4) 前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)(感冒などによるウイルス感染で起き、難聴や耳鳴りはない)
5) めまいを伴う突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)(感冒などによる内耳のウイルス感染、血管循環不全が原因)
6) 外リンパ(ろう)(鼻のかみすぎやダイビングなどで中耳圧が高まり内耳窓(ないじそう)が破れて起る。水の流れる音がする)
7)遅発性内(ちはつせいない)リンパ水腫陳旧性(ちんきゅうせい)の内耳障害がある)
8) 聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)(内耳道に腫瘍、長期間の経過で増悪する難聴あり)
9) その他の内耳性めまい

●脳からのめまいには次のような病気があります。

1) 脳血管障害(のうけっかんしょうがい)(一過性脳虚血発作[TIA]、椎骨脳底動脈循環不全症(ついこつのうていどうみゃくじゅんかんふぜんしょう)、脳出血、脳梗塞など)
2) 脳腫瘍(のうしゅよう)(小脳腫瘍など)

●全身からくるめまいには次のような病気があります。

1) 不整脈(ふせいみゃく)房室(ぼうしつ)ブロック、心房細動(しんぼうさいどう)など)
2) 血圧の変動(起立性低血圧、高血圧など)
3) 頸椎(けいつい)の病気脊椎管狭窄症(せきついかんきょうさくしょう)後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)など)
4) その他(不安、心配ごと、低血糖、貧血[血液の中の赤血球やその中の色素が減って いる病気]、薬の副作用など)



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