2012年6月4日月曜日


パニック障害と合併する疾患(併存症)とは

報告されている大うつ病性障害との合併率はパニック障害を持つ人の50〜60%にも及びます。両方の障害を持つ者の約48%では、うつがパニック障害より先に発症し、約31%は両方同じ年に発症し、約22%はパニック障害がうつ病より先に発症するという報告もあります(Kesslerら:Arch Gen Psychiatry55:801-808,1998)。社交不安障害(社会不安障害)はパニック障害患者の15〜30%に、全般性不安障害は15〜30%に、特定の恐怖症は2〜20%、強迫性障害は10%以下、PTSD(外傷後ストレス障害)は2〜10%と報告されています(Kaplan & Sadock;SYNOPSIS OF PSYCHIATRY:599-600,2003)。

2012年6月3日日曜日


初めまして、質問をお願いします。

以前虫歯で歯医者へ行った際何の説明もなく削られ銀の詰め物(だいぶ前に行ったので何を詰めたかは分かりません)をされ、とてもショックを受けました。

またその歯は(左上の7番です)治療が上手くいかなかったのかまた虫歯になり、別の歯医者へ行きました。
そこでも更に削り、同じように銀の被せ物をしましたが神経ぎりぎりの所まで削ってあり、次治療する際は神経を抜くしかないと言われました。

神経ぎりぎりなせいか、極度に冷たいもの熱いものが沁みます。
一度熱い食べ物を噛んだ際、激痛とともに意思とは勝手に首が右にまわった事があり、噛むことが怖く右ばかりで噛む癖がついてしまいました。

幼少期から5箇所ほど歯医者を変わり未だに納得できる歯医者さんには出会えずにいます。

2012年6月1日金曜日


トップページ > てんかんとは何か

内容

てんかん発作とはなにか?

図1
大脳皮質神経細胞網の模式図

Carpenter MB 「Core Text of Neuroanatomy」神経細胞から無数の神経線維が枝をだし、 お互いに情報交換を行っている。神経細胞相互の情報の受け渡しは電気信号によって行われる。このため、脳内には微弱な電流が制御された形で流れている。

 脳には百億本以上の神経細胞が存在し、それぞれが神経線維という無数の枝をだし、シナプスという接合部でたえず他の細胞から情報をうけとり、逆に、情報を提供しています(図1)。この情報交換は電気信号によっておこなわれます。このため、コンピューター同様、脳にはつねに微弱な電流が制御された状態で流れています。

 しかし、どんなものでも不調をきたすことがあります。脳内の電流もさまざまな原因で乱れます。秩序が崩壊し、神経細胞がいっせいに興奮、異常電流が脳全体あるいは脳の一部で洪水のように迸りはじめるのです。あまり適切なたとえではありませんが、電気器具がショートした状態を思い浮かべていただければいいかもしれません。この異常な電流を異常放電、あるいは、てんかん性発射とよんでいます。

 てんかん発作というのは、この異常放電、てんかん性発射によってもたらされる症状のことをいいます。

 脳はさまざまな機能をもっています。たとえば、大脳の後方に位置する後頭葉の内側は視覚に関与しています。ここに異常放電が生ずると、みえないはずのものがみえたり、目の前が真っ暗になってみえなくなったり、眼球が右や左へ引き寄せられたりします(図2)。あるいは、大脳の前方、前頭葉には運動を制御する部位があります。ここに異常な電流が流れると手足が硬直したり震えたりします。

図2 6歳男児

5歳頃から「目がぼやけると」と叫んだのち、目が右へ偏移するエピソードがみられるようになった.脳波では発作に一致して右後頭-頭頂部(O2ーP4)に律動波が出現し、しだいに振幅を増していくのが認められる(矢印)。

 このように、てんかん発作では異常放電が生じている部位の機能が歪んだ形で症状としてあらわれます。

 異常放電は突然出現し、突然消失します。ですから、てんかん発作も突発的に始まり突発的に止まります。持続は短いもので1秒以下、長くて数分程度です。1分以上発作が続くと異常放電によって脳は膨大なエネルギーを消費しますから、発作の後、神経細胞が疲弊して脳の機能が低下、手足が麻痺したり、ボーっとしたりといった状態がしばらく続くことがあります。これはトッド(Tod)の麻痺とか発作後もうろう状態と呼ばれ、てんかん発作そのものとは区別されます。

 また、例外的に発作がいつまでたっても止まらないことがあります。これをてんかん発作の重延状態あるいは重積発作と呼んでいます。通常、20 分から30分以上発作がつづくものを重積発作と定義しています。発作が長時間にわたって繰り返しおこり、その間、意識が回復しない場合にも重積発作といっています。てんかん発作が断続的に起こっているようにみえても、実際には脳内では異常電気活動が持続していることが多いからです。こうした重積発作が1時間つづくと脳に悪影響を及ぼす可能性があるため、静脈内にてんかん発作を頓挫する薬を入れて、異常電気活動を止める必要があります。

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てんかん発作にはどんなものがあるのか?
部分発作と全般発作

図3 全般発作と部分発作

  •  脳の表面には灰白質あるいは皮質とよばれる膨大な数の神経細胞が集まっている部分があります。てんかん発作をもたらす異常放電の多くはこの皮質で発生します。異常放電は皮質の一部から始まることもありますし、皮質全体(と皮質と神経線維を介して繋がっている間脳、脳幹など)が一斉に興奮状態になることもあります。前者を部分発作、後者を全般発作と区別しています(図3)。たとえば、前に述べた視覚発作は後頭葉の皮質に限局した異常放電によってもたらされる発作ですから部分発作ということになります。

部分発作(単純部分発作と複雑部分発作)

図4 後頭葉発作における単純部分発作から
複雑部分発作への進展

 部分発作は発作中に意識が保たれているかどうかによって便宜上さらに二つに区別しています。意識が保たれている場合を単純部分発作、保たれていない場合を複雑部分発作と呼びます。

 先ほどの視覚発作の例でいいますと、「ヘンなものがみえる」「目の前が真っ暗になってみえない」といった訴えは、発作を起こしている本人が視覚異常を認識していなければ、すなわち意識が保たれていなければ、そもそも自覚することができません。ですから、これは単純部分発作ということになります。

 しかし、後頭葉に限局していた異常放電が後頭葉の前方に位置し意識に深く関係する側頭葉に広がっていくと、自分がどこにいるのか、人が何を話しているのか、今が昼なのか夜なのか、周りのことがまったくわからなくなり、意志に沿った行動ができなくなります(図4)。すなわち、意識の喪失です。意識のないときに起きたことは記憶にとどまることがありませんから、異常放電が側頭葉に広がるような発作を起こした人は発作中のことをまったく覚えていません。このような意識のない状態でみられる部分発作を複雑部分発作といいます。

 ただし、眼球の偏位や片側の手足のふるえといった異常運動は単純部分発作にも複雑部分発作にもみられ、外見上は見わけがつきません。この場合、意識が保たれているかどうか(本人が発作の間のことがわかっていて、あとで思い出すことができるかどうか、あるいは、他人からみて、呼びかけに対し反応するかどうか)によって両者を区別するしかありません。一方、自動症と呼ばれる無目的なおかしな行動・動作、あるいは、目がうつろになったり凝視したりする症状は一般に意識が喪失したとき現れることが多く、複雑部分発作の代表的症状とされています。

 ところで、視覚発作のように明確な感覚症状は「ヘンなものがみえる」「目の前が真っ暗になってみえない」というようにはっきり言葉でいいあらわすことができますが、異常放電の生じる部位によってはそうした明確な感覚症状をもたらさないことがあります。「何となくヘンだ」「発作がやってくる予感がする」となんとなく感じるのですが、それをはっきり言葉で表現できない。小さなお子さんですと、おかしいと感じて母親のところに駆け寄ってくる。そして、その後になって他人にもわかる発作症状が出現することがあります。言葉でいいあらわすことのできないこうした異様な感覚を前兆と呼んでいます。

「......憂愁と精神的暗黒と圧迫を破って、ふいに脳髄がぱっと炎でもあげるように活動し、ありとあらゆる生の力が一時にものすごい勢いで緊張する。生の直覚や自己意識はほとんど十倍の力を増してくる。が、それはほんの一転瞬の間で、たちまち稲妻のごとくすぎてしまうのだ。そのあいだ、知恵と情緒は異常な光をもって照らし出され、あらゆる憤激、あるゆる疑惑、あらゆる不安は、諧調に満ちた歓喜と希望のあふれる神聖な平穏境に忽然と溶け込んでしまうかのように思われる。しかし、この瞬間、この光輝は、発作が始まる最後の一秒......の予感にすぎない......」

ドストエフスキー「白痴」 米川正夫 訳

 これはドストエフスキーの小説「白痴」の一節です。てんかんをもつ主人公、ムイシュキン伯爵の前兆がきわめて雄弁かつ詩的に表現されています。ドストエフスキー自身てんかん発作に悩まされていた人ですから、おそらく、この前兆も自身の経験をもとに書かれたのでしょう。言葉になりえぬ感覚を言葉にしようとするとこういう表現になるのでしょうか。前兆はドストエフスキーのような大小説家の手にかからないと言葉として表現しえないものなのかもしれません。

 前兆とは発作の予感、前触れという意味です。しかし、実際には前兆の時すでに脳のどこかで異常放電が発生しています。ですから、これもてんかん発作の一部です。意識が保たれているということも含めて考えると前兆は単純部分発作といっていいかもしれません。

 繰り返しになりますが、部分発作では、皮質の各機能が歪んだ形で発作症状として現れてきます。しかし、その現れ方によっては、とても、てんかん発作とは思えないものもあります。典型例が、大脳の前方、前頭葉の内側面、下面に生じた異常放電がもたらす発作です。こうした領域で電流が乱れると、両足を交互にばたつかせ(自転車をこぐ姿に似通っているので、自転車こぎ運動と呼ばれることがあります)たんに暴れているとしかみえないような動作をすることもあります。極端な例ではマスターベーションまがいの動作をはじめてしまうこともあります。こうした発作の持続は短く、しかも、発作のあとはケロッとしていることも少なくありません。このため、てんかん発作ではなく「ヒステリー発作」として長年治療� �れていることもあります。

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全般発作

 部分発作に対し、全般発作では大脳半球の皮質が両側とも興奮していると考えられています。部分発作と違い発作症状はだいたい左右対称ですし、脳波上も頭皮のどの部位においた電極からも脳の興奮を示す異常電気活動が記録されるからです。しかし、それでは脳全体が異常興奮に陥っているのかといえば、実際のところは、よくわかりません。強直間代発作(大発作)などはそうだろうと想像されますが、もっと軽い全般発作では、脳の一部が興奮しているだけなのに、脳の中心部にある神経細胞の集まり(灰白質)が興奮するため、外見上、脳全体が興奮しているようにみえるのかもしれません。

 全般発作にはミオクロニー発作、てんかん性攣縮、強直発作、間代発作、脱力発作、欠神発作、脱力発作、強直間代発作があります。

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ミオクロニー発作

 ミオクロニー発作はきわめて短い(2 分の1秒以下の)筋の収縮によって起きる発作です。いわゆるピクツキというのがだいたいミオクローヌス(ミオクロニー発作のように後ろに発作という言葉が続かないときにはピクツキを表す言葉としてミオクローヌスという用語を使います)と考えていただいていいと思います。ピクツキは手足と体幹にほぼ対称性にみられ、手が一瞬もちあがったり、体全体が後屈したりします。発作の強さはさまざまで、強ければ体がよろめいたり、倒れたり、手に持っているものを落としたりしますが、瞼がちょっとピクつくだけのきわめて軽いものもあります。

 ただし、ミオクローヌスというのはてんかん発作以外にも、さまざまな原因によって引き起こされます。ですから、ピクツキがあるからといってすぐにてんかん発作と即断はできません。

図5 ミオクロニー発作

6歳男児 軽度精神発達遅滞あり。3歳過ぎから日に数回、ウッと声を出し,倒れそうになるエピソードが見られるようになった。0.3秒前後の短い筋の収縮(最下段の縦線)に伴い脳波上全般性多棘徐波が認められる。